気持ちがアガらないときのライフハック。~札幌心療内科コラム

◆ 心がウツウツとするときは、身体の「ギア」を上げる!

ネガティブな気分に心が引っ張られて、ベッドやソファから動けなくなってしまったとき、心が落ち込んでいるときに
強い意志の力だけで「ポジティブになろう!」と思っても、なかなか気持ちは切り替わらないものです。

しかし、心理学や身体心理学の視点から見ると、心と身体は私たちが思っている以上に密接に結びついていますので
気分を変えたいなら、心ではなく「身体の動かし方」からアプローチするのが一番の近道になります。

今回は、モヤモヤした気分を一瞬で吹き飛ばす、身体を使ったメンタルハックについて解説していきますね。

◆ 「動的心理学」が明かす、心と身体の不思議な関係

19世紀末にアメリカの心理学者ウィリアム・ジェームズとデンマークの医師カール・ランゲが
それぞれ独立に提唱した感情の理論『ジェームズ=ランゲ説』というものがあり、この中に「身体化認知」という有名な考え方があります。

これは、「悲しいから泣くのではなく、泣くから悲しくなる」「楽しいから笑うのではなく、笑うから楽しくなる」というように、
身体の反応が後から感情を作り出すという仕組みです。

つまり、心がウツウツとしているとき、私たちは無意識のうちに呼吸が浅くなり、動作がゆっくりと重くなっています。

その「ダラダラ・トボトボ」した動きを脳が検知すると、
「あぁ、今は落ち込む時間なんだな」と判断し、さらにネガティブな気分を長引かせてしまうという悪循環に陥ります。

この負のループを断ち切るために有効なのが、意識的に「速い動作」を脳に入力してあげることです。

◆ 3秒でできる!「シュッシュッ」「サッサッ」の魔法

やり方は驚くほどシンプルで、今すぐその場でできることばかりです。

  • 手をシュッシュッと動かす(デスクの上を素早く片付ける、手を素早くこすり合わせる)
  • サッサッと足踏みする(その場で少しテンポよく足踏みをしたり、早歩きで歩いてみる)

難しく考える必要はまったくありません。
ラグビーや格闘技の選手が試合前にパンパンと身体を叩いたり、素早くステップを踏んだりするのと同じで、
あえてリズムの速い動きを身体にさせるのです。

動作のスピードを強制的に上げると、脳のキャパがその素早い動きに対応するために使われ、
ネガティブなことを反芻して悩む余白が物理的に消えてしまいます。

さらに、交感神経が刺激されてスイッチが入り、前向きなエネルギーが湧いてきやすくなるのです。

「やる気が出たら動こう」と待つのではなく、「先に身体のテンポを上げて、後からやる気を追いつかせる」

それだけで、驚くほど軽やかに次の行動へ一歩を踏み出せるようになりますよ。

今回の話も何か少しでも参考になることがあれば幸いです。
ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。

(完)