自分をイジメてる人に。~札幌心療内科コラム

◆ 他人にされたら大問題なのに、自分には平気でやってしまうこと。
もしあなたの目の前に、「お前はあのとき、あんな大失敗をして本当にダメな奴だ」「いつも肝心なところで間違えるよね」と、
過去のミスを何度も何度もネガティブになじってくる人がいたらどう思うでしょうか?
きっと、「これはイジメだ」などと感じて、全力で距離を置こうとしますよね。
しかし、私たちはこれと同じ恐ろしいことを、自分の頭の中で、自分に対して平気で行ってしまっていることがあります。
今回は、無意識に自分をジャッジしてしまう「脳内のイジメ」の正体と、
そこから抜け出すための心理学的なアプローチをお話しします。
◆ 脳内の「厳しい裁判官」が、あなたを疲れさせている
心理学において、このように頭の中で自分を過剰に責め立ててしまう内なる声を
「クリティカル・インナーボイス(批判的な内なる声)」と呼びます。
何かが上手くいかなかったとき、客観的に事実を振り返って「次はこうしよう」と切り替えるのが正しい反省です。
しかし、この内なるイジメっ子は、変えられない過去のデータを引っ張り出しては、
「なぜあんなことをしたんだ」「だからお前はダメなんだ」と、あなたの人格そのものを執拗に攻撃し続けます。
他人に言われる言葉なら「うるさいな」と境界線を引いて無視することもできますが、
自分の頭の中の独り言は24時間休みなく心にダイレクトに響くため、防ぎようがありません。
どれだけ真面目に頑張っている人でも、この「脳内イジメ」を毎日繰り返されていると、
脳の中はストレスで満杯になり、自己肯定感はどん底まで削り取られてしまいます。
自分で自分を心の安全基地にするどころか、自分の頭の中を一番危険な場所に変えてしまっているのです。
◆ 親友に声をかけるように、自分に接してみる
この終わりのない自傷行為から抜け出すために、今日からぜひ持っていただきたいのが、
心理学でもその絶大な効果が実証されている「セルフ・コンパッション(自分への慈悲)」という視点です。
これは、決して自分を甘やかして現実逃避することではなく
「大切な親友が落ち込んでいるときと同じように、自分自身にも温かい言葉をかけてあげる」という、心の筋トレです。
脳内で自分を責めるイジメっ子が騒ぎ出しそうになったら、次のステップでルールを上書きしてみましょう。
- 「主語」を入れ替えてみる
今、自分が頭の中で自分に向けているキつい言葉を、もし「大好きな親友」が落ち込んでいるときにぶつけるかどうか、一度考えてみます。絶対に言わないはずです。
親友には「大変だったね」「一生懸命やった結果だよ」と声をかけるなら、その言葉をそのまま今の自分にプレゼントしてあげてください。
あなたを一番近くで守り、一生付き合っていく最高の味方は、他の誰でもないあなた自身です。
これからは、出来る限り優しさを自分自身に向けてあげてくださいね。
今回の話、何か少しでも参考になることがあれば幸いです。
ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。
(完)



