やる気は「卵のカラ」という話~札幌心療内科コラム

なにか行動を起こす前の「最初の一歩」がものすごく重く感じられることってありますよね。
私たちはつい、「強い意志の力やモチベーションが湧かなければ、行動できない」と思い込んでしまいがちです。

今回は、重い腰をあげるための「脳の仕組み」と、誰でも今すぐ行動できるようになる心理学的なアプローチをお話しします。

◆ 「手段」が「目的」に変わる、脳の奇跡

心理学者のオルポートが提唱した『機能的自律』という非常に興味深い概念があります。

これは、最初は「生活のため」「人から褒められるため」といった外側の理由(外発的動機)で始めたことでも、
続けていくうちにその活動自体が独自の価値を持ち、
「それをすること自体が純粋に楽しくてたまらない」という独立した目的に進化する現象を指します。

たとえば、最初は「SNSのフォロワーを増やしたい」という目的のために必死で文章を書いていた人が、
ある時期を境に「ただ自分の言葉で表現し、誰かに届けるプロセスそのものが愛おしい」と感じるようになる。

これが機能的自律です。

私たちはつい「やりたいことが明確に決まってから動くべきだ」と考えがちですが、実は順番は逆でも構いません。

最初は動機が不純でも、義務感からであっても、
そのプロセスの中に「自分だけの小さなこだわり」や「美意識」を見出した瞬間、
びっくりするほど集中できたりするものです。

◆ 脳をだます「コンコン・ハック」のやり方

そうはいっても、最初の一歩を踏み出すのはエネルギーがいりますよね。
コツは、脳に「今から大変なことをやるぞ」と身構えさせないことです。

『5分ルール』でハードルを下げる、などはいかがでしょうか。

心理学でよく使われるテクニックです。

「パソコンの電源を入れてファイルを開くだけ」「ノートを開いて日付を書くだけ」など、まずは5分だけやってみる。

脳が拒絶反応を起こさない「つつくレベル」の超スモールステップから始めます。
「5分やって嫌ならいつでもやめていい」という逃げ道を作っておくことで、心理的なブレーキが外れやすくなるはずですよ。

今回の話も、何か少しでも参考になることがあれば幸いです。
ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。

(完)