幸せはモノやゴールじゃない、という話。~札幌心療内科コラム

「モノ」や「ゴール」を追いかける人が、なぜかずっと満たされない理由

私たちは気がつくと、まだ見ぬ『ゴール』ばかりに目を向けてしまいがちです。
外車を買ったら幸せ。 憧れのタワマンに住めたら幸せ。

でも、いざそこに辿り着いてみると、あんなに欲しかった達成感は一瞬で消え去り、
「じゃあ、次はもっと……」と、すぐに新しいゴールを探し始めてしまう。

実は心理学の世界でも、「モノ」や「結果」そのものは、私たちを長期的に幸せにはしてくれないことが分かっているんです。

脳をバグらせる「快楽の踏み車」というワナ

心理学には、人間の幸福感を解き明かした『快楽順応(ヘドニック・トレッドミル現象)』という言葉があります。

人間はどれだけ大きな成果を上げても、あるいは最新のアイテムを手に入れても、
その喜びには一瞬で「慣れて」しまい、また元の幸福度に戻ってしまうという脳のバグのような仕組みです。

アメリカの心理学者による有名な研究で、「宝くじの高額当選者」の幸福度を追跡調査したものがあります。

当然、当選した瞬間は天にも昇る気持ちになりますよね。
ところが、なんと1年後には、彼らの幸福度は「普通の人」とほとんど変わらないレベルまで戻ってしまっていたのです。

だとすれば、ゴールそのものに幸せを期待するのは、動かないランニングマシンの上で必死に走り続けるようなもの。
ずっと満たされないのも当然なんです。

◆ 科学が証明した、一番コスパのいい幸福論

じゃあ、本当の幸せってどこにあるの?って話ですよね。
答えはシンプル。山を登っている、まさに「その最中」にしかありません。

心理学者のエド・ディーナー博士らの研究によると、人間の幸福度を決めるのは、
ポジティブな感情の「強さ」ではなく『頻度』だということが分かっています。

つまり、人生で1回だけ大爆発するような最高の結果を迎えるよりも、
日々の道中で小さな喜びを何回味わえたかの方が、はるかに人生の幸福度を高くしてくれるのです。

もし今、何かに挑戦していて「早く結果が出ないかな、しんどいな」と思っているなら、
ちょっとだけでいいので今の状況に目を向けてみてはいかがでしょうか。

今回の話、何か少しでも参考になることがあれば幸いです。
ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。

(完)