「ちょっといい言葉」が1ページごとに大きな文字で書いてあるだけの本を読んだときに思うこと。~札幌心療内科コラム

本屋さんに行くと、ときどき見かけますよね。
見開き1ページに「ちょっといい言葉」がポツンと大きな文字で書いてあるだけの本。
ページをめくっても、めくっても、余白だらけで数秒で読めてしまうような構成の本のことです。
いえ、正直に言うと、最初に開いたときは「え、これだけ……?」と拍子抜けしたり、
「なんだか物足りないな」と感じたりしてしまうことがあります。
しかし、心理学や脳科学の視点から見ると、
この「スカスカに見える本」には、侮れない凄いメリットが隠されているのです。
◆ 文字が大きい方が、脳に「強烈なインパクト」を残す
読書というと、小さな文字がぎっしり詰まった本をじっくり読み進めるイメージがありますが、
実は脳の記憶のメカニズムから見ると、情報量は多ければ多いほど良いというわけではありません。
心理学や認知科学の研究でも、文字が大きい方が読みやすいのはもちろん、記憶にも残りやすいとされているのです。
視覚的なインパクトが大きいと、脳は「これは重要な情報だ」と判断しやすくなります。
よって、小さな文字で長文が書いてある本より、読者の記憶には強くインパクトがあると言えます。
ぎっしり書かれた正論を1時間かけて読んで翌日には大半を忘れてしまうくらいなら、
たった一言の力強いメッセージを数秒で脳に焼き付け、
それをずっと心に留めておく方が、人生を動かす力としてははるかに強力だったりします。
そういう意味では素晴らしい本であり、立派な読書体験を提供してくれているのです。
と、ここまでのお話にもあるように、
脳へのアプローチとしては非常に理にかなっているし、
疲れているときでもスッと心に入ってくる心地よさがあるのは間違いありません。
でも、でもですよ?本の材料がもったいないとも思うのが、いち読者である私の正直な本音だったりもします。
資源にも限りはありますから………
あ、とはいえ、デジタル画面でスクロールしながら流し読みする言葉と、
物理的な「本」という重みを持って目の前にドンと現れる言葉とでは、
受け取る側の覚悟や境界線の引き方が変わってきます。
もし手元にそういう本があるなら、中身の薄さを嘆くのではなく、
「脳にダイレクトに効くサプリメント」だと割り切って、
その大きな文字を無心でじーっと見つめてみるのが一番賢い付き合い方かもしれませんね。
今回の話、何か少しでも参考になることがあれば幸いです。
ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。
(完)



