「気分」に左右されないで生きるべし、という話。~札幌心療内科コラム

私たちは日々、いろいろな「気分」に振り回されながら生きています。

しかし、「気分」に左右されすぎる生き方は、心理学的に見ても、
自分の人生の主導権を他人に明け渡しているようなもので、少し危険かもしれません。

今回は、なぜ私たちの気分はこれほど不安定なのか、そしてどうすれば自分の軸を保って生きられるのかについて解説します。

そもそも、私たちが「気分が良い」とか「やる気が出ない」と感じる背景には、脳内の神経伝達物質が大きく関わっています。

心理学や脳科学の分野で特に注目されるのが、快感やモチベーションを司る「ドーパミン」です。
何かを達成したり、サウナや冷水浴などの刺激を受けたりしたときに分泌され、私たちに強い快感をもたらします。

ただ、問題はこのドーパミン、「出しすぎると、普段の生活の中でどんどん出づらくなっていく」という厄介な性質を持っていることです。
強い刺激に頼ってドーパミンを出しすぎていると、脳のベースラインが下がり、何もない日常に退屈や不安を感じやすくなります。
その結果、ちょっとしたことでイライラしたり、気分が激しく落ち込んだりする悪スパイラルに陥ってしまうわけです。

銭湯などで「オレはアツいお湯じゃないとダメなんだ!」と文句を言っている方などは、
まさに前提としてイライラしており、普段の生活でドーパミンが枯渇している可能性が大だと言えます。

心理学において、このように感情の波に流されて行動を決める状態は、「自己コントロール感」が著しく低下している状態です。

画像にあるセリフの通り、「気が乗らないから勉強しない」とか「何かムカムカするから不機嫌」というのは、今すぐやめるべき行動のクセです。
なぜなら、「気分」に左右されているかぎり、その人は出た目によって運命が変わる「サイコロ」と同レベルの人間になってしまうからです。

いや、今日が良い日になるか、悪い日になるかが、
朝起きたときの「気分のサイコロの目」次第になってしまうなんて、なんだかつまらないですよね…。

では、サイコロ人間から脱却して、自分の軸で生きるにはどうすればいいのでしょうか。

心理学的なアプローチとして最も有効なのは、行動と感情を切り離すことです。
大切なのは、「気分に無関係に勉強する」とか「気分に無関係に上機嫌になる」って決意することです。

  • 感情を実規中継して受け流す:「あ、今自分は面倒くさいと感じているな」と客観的に描写(マインドフルネス)して、そのまま横に置いておく。
  • 行動を先に行う:やる気が出るのを待つのではなく、数分単位の「シングルタスク」として、とにかく先に手を動かす。


「いまこれをやるべきだから、淡々とやろう」という決意を持つことこそが、結果として脳内のドーパミンの分泌を安定させ、イライラに振り回されない穏やかなメンタルを作ってくれます。

もし自分がイライラしがちになっているなと感じたら、
ちょっとだけ「あれっ?自分は今、気分に左右されるサイコロになっていないか?」と考えてみるキッカケにするといいかもしれません。

今回の話、何か少しでも参考になることがあれば幸いです。
ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。
(完)