ダルいときは一点を見つめろ、という話。~札幌心療内科コラム


仕事中やふとした瞬間に、過去の失敗や嫌な思い出、あるいは「なんだかダルいな……」という
ネガティブな感情が頭をぐるぐると駆け巡ってしまう…。

心理学ではこれを「反芻(はんすう)思考」と呼び、うつや強いストレスの原因になることが分かっています。

このネガティブの沼から一瞬で抜け出す、
驚くほどシンプルな方法があります。 それは、目の前にある「何か一点」をただじーっと見つめることです。

今回は、視線とメンタルの不思議な関係について解説します。

◆ 視線を固定すると、嫌な記憶が半分に減る?

心理学者のベンジャミン・ベアートは、人間の記憶と脳のキャパシティに関する非常に興味深い実験を行いました。

実験では、参加者たちに「過去の恋愛(嫌な思い出など)を思い出すな。少しでも思いだしたらボタンを押せ」と指示します。
その際、一方のグループには「画面の一点を凝視せよ」という指示を与えて、視線を完全に固定させました。

すると驚くことに、
一点を凝視したグループは、ボタンを押す時間(=嫌なことを思い出して囚われていた時間)がなんと半分になったのです。

◆ 脳の処理能力を「凝視」で埋めてしまう

なぜ、ただ一点を見つめるだけでネガティブな思考が消えていくのでしょうか。

人間の脳が一度に処理できる情報量には限界があります。
実は「何か一点をじーっと見続ける」という行為は、脳にとって意外なほど多くの処理エネルギーを使います。

つまり、視線を1カ所に固定して脳のキャパシティを強制的に埋めてしまうことで、
脳が「過去の嫌な思い出」や「ダルいな」というネガティブな感情を再生する余白を物理的に無くしてしまうわけです。

心がモヤモヤしてどうしようもないときは、自分の意思の力でポジティブになろうとするのではなく、
まずは目の前のものを5秒間、無心で凝視してみるのもオススメです。

ぜひ実践してみてくださいね。

今回の話、何か少しでも参考になることがあれば幸いです。
ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。
(完)