成功と失敗には「運」も関わるという話。~札幌心療内科コラム

世の中には、大きな成功を収めて輝いている人がたくさんいます。
そういう人たちのストーリーを見ると、並外れたハードワークや血のにじむような挑戦があり、
「成功した人は多くが努力してる。それは真実」だと誰もが実感するはずです。
しかし、だからといって「成功していない人=努力が足りない人」という方程式が成り立つかというと、話は別です。
心理学には「公正世界仮説」という有名な認知の偏りがあります。
これは、人間の脳が「この世界は原因と結果がすべて平等に結びついている正しい場所だ」と思い込みたがる性質のことです。
「良いことをした人には良い報いがあり、悪いことをした人や努力を怠った人には悪い報いがある」と信じることで、
脳は安心感を得ようとします。
しかし現実はどうでしょうか。
時には「運」に左右されることがあるのが、この世界のリアルな一面です。
生まれた環境、育った時代、偶然出会った人、あるいは予期せぬ病気や災害。
人生には、個人の努力や強い意志だけではどうにもコントロールできない不条理な「運」の要素が、
想像以上に深く絡み合っています。
貧しい人を見て、「努力が足りないから貧しいんだ」と他人の背景を決めつけてしまうことは
「もし自分が失敗したら、それは努力不足のクズだからだ」という過酷な自己評価で縛り付けることと同義なのです。
他人の状況を「見えている部分」だけで判断せず、
「そこには自分には分からない背景や運の作用があったのかもしれない」と思いやる気持ちが大事です。
今回の話、何か少しでも参考になることがあれば幸いです。
ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。
(完)



