「視覚」こそが脳疲労の最大の原因という話。~札幌心療内科コラム

仕事や勉強の合間に、「ちょっと一息つこう」と思ってスマホを手にする、
SNSをチェックしたり、動画を観たり、ネットニュースを読んだり……。
現代人にとって、これはごく当たり前の「休憩風景」ですよね。
しかし、この休憩方法は大いなる罠かもしれません。
実は、私たちが「休んでいる」と思っているその時間こそが、脳をさらに追い詰める最大の原因になっている可能性があるのです。
今回は、脳疲労のメカニズムと、本当に脳を癒やすための正しい休憩法について解説します。
この時代の大半の人がスマホをリフレッシュの道具だと勘違いしています。
人間の脳は、入ってきた情報を処理するために常にエネルギーを消費しています。
ここで知っておくべき決定的な事実は、「脳への情報の8割が『視覚情報』」だと言われている点です。
つまり、目を開けて何かを見ているだけで、脳は膨大なデータを処理するためにフル回転を強いられます。
スマホの画面から流れてくる文字や映像、色彩は、脳にとって凄まじい情報量です。
そのため、体を動かしていなくても、何かを見るのはかえって脳を疲れさせちゃっているわけなんですね。
これでは休憩どころか、脳に「追加の残業」を強制しているのと変わりません。
さて、心理学において、脳が一時に処理できる情報量には限界があり、これを「認知資源(キャパシティ)」と呼びます。
この認知資源は、朝起きたときが満タンで、頭を使うたびに徐々に減っていきます。
視覚情報によってこの資源を無駄遣いしてしまうと、本当に集中したい仕事や勉強のときに、脳がエネルギー切れを起こしてしまいます。
「しっかり休んだはずなのに、なぜか頭がボーッとする」「集中力が続かない」という人は、
知識不足や体力の問題ではなく、単に視覚情報の入れすぎによる「脳疲労」が原因であることが大半なのです。
では、脳のエネルギーを回復させ、疲労をリセットするにはどうすればいいのでしょうか。
わざわざ本格的に昼寝をしなくても、ただそっと目を閉じるだけで十分です。
というのは、目を閉じることで、脳に流れ込んでいた視覚情報(全体の8割)という巨大なデータ流入が物理的にシャットアウトされます。
インプットがゼロになれば、脳はそれ以上情報を処理する必要がなくなり、
ようやく本物のリラックスモードに入ることができるのです。
5分でも、あるいはほんの1分だけでも構いません。
椅子に背を預け、ただ目を閉じて静かに過ごす。これだけで脳のキャパは回復へと向かいます。
忙しい毎日のなかで、私たちはついつい「時間を有効に使おう」とスマホに手を伸ばしがちですが、
時には「あえて何もしない、何も見ない」という贅沢を自分に許してみてはいかがでしょうか。
今回の話、何か少しでも参考になることがあれば幸いです。
ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。
(完)



